前回、愛嬌さえあれば大目に見てもらえるような小さなマナー程度のことを書いたが、今日はそれに関連して少し欧米的な私の考察を追加。

社会にはこれが「美徳」だというものがある。
もちろん「美徳」を知るからこそ、相応する行いがあり、文化によってもちがいがある。
ところがこういった文化による美徳のちがいというのも、知らないと勘違いしやすい。
日本でかっこいいことを、欧米でやると、すごくかっこ悪かったりすることがあるということだ。
まぁ、自分の失敗くらいはいいとして、これもマナーとかかわりが深く、会話で実は自分はほめているつもりなのに、相手は不機嫌になってしまったり、相手にほめられているのに、嬉しくないだとか、この美徳センスにより会話がスムーズにいかないことも多々ある。
当然これはかっこいい!と思う事柄は個人によっても差はあるので、自分は一般とは違うセンスであるという場合は除外ではある。

ということで、今日はちょっとした美徳センスの違いを3つ紹介してみよう。

★色白と陽に焼けた肌

日本では「色白ね」というと必ずほめ言葉だ。
私なんかは言われると嬉しい。
これは小さい頃から、日焼けをいとわず外で一日中遊んでは、真っ黒ねと言われ続けたのが要因であろう。
こんな私もここでは陽に当たることがあまりなく、だんだん白くなっていく。
そして真夏になり短パン姿でかなり白くなった素足を出して庭仕事をしていた。
そこへ隣のおばあさんが私を見て、近づいて来てこう言った。

"Your legs have got a nice sun tan"「陽に焼けたいい色の足ね」

と!!!!
私の中ではこれ以上ないってくらい白い足に向かってだ。
私ががっくりきているのをよそに、彼女はうらやましいと言った。
そうなのだこんがり日焼けしているのは、かっこいいらしいのだ。
確かに日焼けしているとよく褒められる。
そして白いことは嘆かれる。
ほめているところをあまり聞いたことはない。

Fine skin「肌のきめが細かい」とほめられることはあっても、決して白いねというのはほめ言葉ではない。
雪のように白いと白雪姫のようにたとえを美しくして、ほめるという言い方も確かにあるのだが、喜ばれる可能性もかなり低い。
ちなみに顔色で白いというと、血の気がない、蒼白であるという意味が多く、Whiteという英語を使わない。
Paleという単語を使う。
顔面蒼白というような病がちなイメージではある。

★鼻の高いこと

骨格の違いから、欧米人の鼻は高い。
それに比べると日本人は低い。
そして日本では鼻が高いことがよしとされている。
いったい誰が作った風潮だか知らないが、小さな頃はあまりの低い鼻に両親が嘆いて、大きくなったら高くなるように私の鼻をよく引っ張っていた。
そんなのが効果あるのかまったくもって不明ではある。
が、私の鼻はこれでも欧米で割りと評判がいい。
いや決して高いからではない。
小さいからだ。
大きな鼻は割りといやがられるのだ。
日本でよく外国人の鼻が高いことをジェスチャーで表現する人がいたけれど、あれは君の鼻が大きいとも取れるジェスチャーで、かなり嫌な思いをさせている。
私の知り合いのコリンはそのことでかなり傷ついては、日本人に鼻が高いと言われるとバカにされたと勘違いして、逆に
Yours is flat!「君の鼻こそ平らだよ」
なんて仕返しのつもりで言い返していた。
誤解が誤解を生んでほめあいのつもりが、けなしあいになっている。
だからほめるつもりで、鼻が高いなんて絶対に言わないほうが吉である。
同様に足が長いだとか、顔が小さいだとかもほめ言葉になっていないことも多く、外見をほめるときは気をつけなければいけない。

★急ぐとき

急いでいる様子というのは日本ではきびきびして気持ちがいい。
むしろスローだと、店でもどこでもいらいらされる。
さっさとしてくれって感じに。
慌てていることが実は努力を見せていると見られないこともない。
ところが急いでいる様子というものは、ここ英国ではかなり恥ずかしいことではある。
レストランなんかで食事が終わって、支払いするなんてときに、すぐウェイターが来てくれないと、日本人は1分の遅れでもいらいらしている。
きょろきょろ探すふり、早く来てくれ、もう全身から急いでいる風体を漂わす。
もちろん急いでいることを隠しもしない。
これが9割の日本人に見られる。
これが欧米人だとヨーロッパなんかでもそうだが、どんなに急いでいても、急いでいないフリをする。
それが美徳だからだ。
慌てている様子は紳士・淑女としては非常にかっこ悪い。
そんな風に考えている。
上流階級に行けば行くほど、その傾向は強い。
だから海外に行けば、慌てない練習が必要ではある。
いや慌てていてもそれを表面上出さなければいいのだ。

やはり紳士・淑女への道は「落ち着いて」というのなしには成り立たない。

朝ぎりぎりに起きて毎日パニックしている私には遠い道のりではある。
色白には決してなれないが、
I’m turning pale「顔面蒼白になっていく」日々ではある。

コメント

nophoto
山野(原人)
2006年6月28日6:01

日本人ですが、「★急ぐとき」は私も急いでいないフリをします。(笑)

英国紳士を目指すには、ここにあるように行動すれば良いのですね。
英国紳士になりきれなかった時のために、「恥ずかしくて、顔が真っ赤」はどう言うのか、教えてください。

la_barmaid
la_barmaid
2006年6月30日18:42

●山野(原人)様
落ち着いた風格が出せれば、紳士への道のりがかなり近いかと思われます。
「恥ずかしくて顔が真っ赤」と紳士になりきれなかったときのためというのが、どういう関係かよくわかりませんが、
"I’m blushed"でいいかと思われます。

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